東御市祢津地区には2つの回り舞台があります。
その内、東町の歌舞伎舞台は鎮守・祢津日吉神社の境内にあります。
1817(文化14)年に建てられたと伝わります。西宮の歌舞伎舞台の翌年に完成しました。
1990年には長野県の有形民俗文化財にも登録されています。
舞台の特徴として、迅速な場面転換ができる【回り舞台】があり、改修は加えられているものの、現在も使用できます。その他にもせり上げ(左右に1つずつ)や田楽返しもあります。
祢津地区は旗本領であった事もあり、歌舞伎などの文化も流入しやすく、取り締まりも緩やかだった事から、村人らは歌舞伎舞台が建てられる60年ほど前には地芝居が行われていたことが残された資料から確認できます。
舞台ができる以前は、日吉神社より500m北東の場所ある山の神の境内にある演技場で行われていた様です。
江戸後期から大正時代にかけて、どんな地芝居が演じられてかを調べてみようとしても、中々資料が見つかりません。では、地芝居をやっていなかったのかと言えば、そうでは無く、1749年の台本をはじめ、明治・大正期までの台本も多く見つかっています。
しかし、戦後の1950年の公演を最後に戦後の困窮期と言う事もあり、地芝居が途絶えてしまいました。
昭和も終わりになると、老朽化した歌舞伎をどうするかを区内で話し合い、舞台を修復して地芝居を復活させようと動き始めます。
1988年に舞台の修復が終わり、4月にこけら落とし公演として「伽羅先代萩」が保存会により演じられました。
これより、地芝居は復活し、今日まで続いています。
現在、益子輝之先生が指導しています。
春の公演は毎年4月29日・昭和の日に行われています。1998年からは祢津小学校歌舞伎クラブによる子ども歌舞伎も披露されています。
そして、2014年からは夏に高校演劇部による公演が行われています。
◎近年の公演
2014年4月 舞台修理工事竣工記念公演
〇保存会による、『鎌倉三代記「絹川村閑居の段」』
〇子ども歌舞伎クラブによる、『勧進帳』
7月 麻布大付高校による演劇公演
11月 県民文化会館にて、保存会による『一谷嫩軍記「熊谷陣屋」』と子ども歌舞伎クラブによる、『勧進帳』
2015年4月
〇保存会による、『御所桜堀川夜討(弁慶上使)「侍従館の場」』
〇子ども歌舞伎クラブによる、『忠臣蔵』
8月 日体大柏高校と新島学園高校による演劇公演
2016年4月
〇保存会による、『絵本太閤記 「尼崎閑居の場」』
〇子ども歌舞伎クラブによる、『忠臣蔵』
8月 日体大柏高校と上田千曲高校による演劇公演
2017年4月 歌舞伎舞台建築200周年記念歌舞伎公演
〇保存会による、『菅原伝授手習鑑』
〇子ども歌舞伎クラブによる、『義経千本桜』
8月 日体大柏高校と二松学舎大附柏高校による演劇公演
2018年4月
〇保存会による『加羅先代萩~御殿の場・床下の場~』
〇子ども歌舞伎クラブによる『土蜘蛛退治』
2019年4月
〇保存会による『奥州安達原三段目~環宮明御殿の場~』
〇子ども歌舞伎クラブによる『白波五人男』
2020年~2021年
コロナウイルスにより、中止。
参考
祢津誌(祢津地区活性化研究委員会)
祢津東町歌舞伎のあゆみ(東町区・東町歌舞伎保存会)
東町歌舞伎保存会の皆さんの話し